第四の壁 演劇交流会



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[25] 風蝕異人街のダンスコレクション

投稿者: 亜門啓太 投稿日:2015年 3月10日(火)20時10分3秒 218.net116254001.t-com.ne.jp  通報   返信・引用   編集済

三木美智代、布上道代、石垣通子ら三人のミッチーと池上信子、石川理恵、佐藤浩子、福田泰子によるダンスコレクションが2月28日と3月1日にアトリエ阿呆船で提供された。音楽は石橋俊一による。第一部は三木の「絶域」と、布上による「THE NEXT~次なるは」という芸術性の高い個性的な創作舞踊が舞台上に怪しくも深遠な世界を描き出した。
 三木の動きにはギリシャ悲劇を土台とする西洋的な匂いを漂わせていた気がするし、布上のそれは日本の巫女にあるような東洋的なものを感じた。私は今回の演目を通して観客者として舞踊を観る目が一節ぬけた気がした。ふたりの演技はそんなインパクトを与えてくれたのだった。
 私がそこから感じ取ったのは、ダンサーというものの内面に起きている現象の自分なりの発見であった。ダンスという肉体芸術は憑依の芸術でもあるということを私はまざまざと感じ取ったのである。ダンサーは踊りに入るまえに静止したわずかの時間をもつ。これはもちろん精神を集中させるためだが、ある種の瞑想、宗教的と言ってもいい沈黙の世界に入るのではないかと私は考える。
 その短い時間は真に重要なものにちがいない。ダンスは自己の内面に存在するさまざまな人格や思念、欲望や観念を解脱にも似た鍛練によって自身から幽体離脱させ、それを舞台上において選択的に自己に憑依させることによって肉体を律動させる芸術であると私は思うのだ。
 同じ人格であっても時空の違いを使い分ける必要があり、つまり子供のときと大人になってからは別の個体な訳で、憑依させるべきものは無数に及び、それを自在に操って自身の肉体を動かすのである。三木美千代と布上の演技はその点において深い芸術性を舞台に表出することに挑み、かなりの成功をおさめていたように思う。
 第二部は、一部で集中し疲れた私の神経をいやしてくれた。中年OLシリーズ「結婚詐欺」は文句なしに面白かった。参加してくれたダンサーたちは十分観客を楽しませてくれたと思う。私は友人に詩人を多く持っているが、彼らにこうした舞台を見せたいと思った。肉体と言葉は表裏一体なのであり、詩人たちは肉体芸術から多くを学ぶことができるはずだ。
 芸術には完成はなく、常に何らかの改善点が見つかるものだが、いずれにしても重要なのは常に真摯な態度で柔軟に挑んでいくことであろうと思う。そこに新しい思索と魂の交流が生まれ、別の波動が表出し、思ってもいなかった効果や劇的な空間を創り出すことになるのではないだろうか。これからも大いに期待する。


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