第四の壁 演劇交流会



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[29] 青森県のせむし男2

投稿者: 亜門啓太 投稿日:2015年 8月10日(月)09時38分5秒 238.net116254003.t-com.ne.jp  通報   返信・引用   編集済

風蝕異人街が複数の劇団やフリーランスを結集して作り上げた「青森県のせむし男」は大成功と言って間違いない8日間9公演を終えた。今回の小柴の演出で観客の心をより印象的にとらえたのは先回ふれた寺山作品の現代的な解釈に加えて巧みな音楽の導入がある。二年前にも童謡をバックコーラスとして流す試みはあったが、今回ははっきりと演劇の中で音楽の果す力を十分に取り入れていた。和楽器奏者を三人加えて、彼らを劇中人物のように配置していたのは巧みだった。ジャンベの石橋俊一、薩摩琵琶の黒田拓、二胡の凛子の果たす役割は重要だったと思う。彼らは回を追うごとに舞台と同化して千秋楽の最高の完成度に高めていったといえるだろう。ビジュアル的に観ても彼らの美形は絵になっていたし、物語を重厚なものにするのに役立っていた。それと導入されていたコーラスは圧巻だった。最初のほうで大正マツの独唱に全員が加わる『惜春鳥』は物語の世界に観客を導入する大きな効果をもたらしたのは間違いない。マツを演じた堀紀代美は哀切をこめた表現で美しく歌い上げた。フィナーレでは若者の叫びを取り入れてオリジナル曲『阿呆船(借題)』を合唱した。これもまたメッセージ性の強い歌であり観客を高揚させる大きな力になっただろう。もうひとつの要素は鍛え上げられた肉体によるダンスを先回以上に充実させたことも見逃せない。芸術性の高い三木美千代に福田泰子が加わり、メソッドで訓練を積んだ劇団員がエネルギーに満ちた空間を造り上げた。興行的に成功している劇団四季や宝塚から音楽とダンスをとったら何も残らないと思うのだが、寺山も音楽とダンスの力を熟知していた。生前700曲を作っている彼は舞台に頻繁に音楽性を取り入れていた。いずれにしてもこれらが今回の成功の大きな要素のひとつであったことは疑いようがないと私は考える。


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