第四の壁 演劇交流会



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[30] 青森県のせむし男雑感

投稿者: 不破久雄 投稿日:2015年 8月10日(月)12時54分26秒 KD111100226049.ppp-bb.dion.ne.jp  通報   返信・引用

 風蝕異人街の「青森県のせむし男」を8/3、8/5、8/7と3回観た。同じ劇を3回を観る経験は初めてだったが、数日経った今でもいろいろなシーンが音楽と共にフラッシュバックしてくるのを楽しんでいる。それと回を重ねるごとに寺山の言葉が胸に染み込むのを感じた。特に劇中で繰り返される寺山の短歌は3回目で初めて意味が了解されるものもあった。やはり短歌はある程度視覚による理解が必要なので仕方がない。しかし逆にその意味を知りたくて観劇後に寺山の作品集を読み直したくなるというメリットもあるのかもしれない。
 私の一番好きなシーンは、冒頭3人の演奏者(ジャンベ、薩摩琵琶、二胡)が狐面のコロスに案内されて登場するところ。何度観てもかっこいい!
 その後でコロスが舞台と客席の間の3枚の格子を取り除く動作もしびれる。様式化されたあの計算された動きがいい。彼が舞台中央に戻り、頭を少しかしげて無言で挨拶をするシーンは、最後に異形の女性が「これにて青森県のせむし男はおしまいでございます」と独特の声で宣言するシーンとセットになっているのだろう。
 主役のマツとせむし男の演技は見事だが、脇をかためる役者もみな達者だ。特に瞽女(噂女1)がいい。抜群の存在感である。彼女が噂男二人と3人で、土の中からの声を聞く場面では男二人と一緒に器械体操のようなポーズをとったのは秀逸。
 噂女の中に一人だけご年配の方がいて、いい味を出していた。あの方がいるのといないのでは噂女軍団の重みが全然違う。後で聞くと七十近いお歳で、何と舞台に立つのも初めてらしい。
 マツが興奮して思わず訛り丸出しでしゃべるとコロスが笑ってマツがはっと気づく場面がよかった。あのパターンをもうちょっと繰り返して笑いを取ったらどうだったろう。ずっと暗くて妖しい場面が続くので、思いっきり笑う場面もアクセントに欲しいかなと思った。
 一つだけ違和感を覚えたのは、集団でのダンスの音楽。どうも現代的すぎてあそこだけ浮いてしまっているような感じ。もっと和風あるいは土俗風のアレンジの方がよかったのではないか。
 何はともあれ、どのシーンもすごい迫力。そして演じている役者たちの楽しそうなこと。観ているものを元気にしてくれる舞台だった。


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